あるサイトで、heteml(へテムル)の新サーバーに移行する必要があったので、手順と注意点をご紹介したいと思います。
特に、WordPressを使用している場合、躓くことも多いかと思いますが、一つ一つクリアしていってください。(※後ほど改めて記述していますが、作業する際はバックアップを必ず取って行いましょう。)
※2019/9/25追記:新サーバーへの移行が、ワンクリックで完了する「自動データ転送」に対応いたしました。
ヘテムルより、新サーバーへの移行がワンクリックで完了する「自動データ転送」が2019/9/17よりスタートしたというリリースがありました。
これによって、簡単にデータ移行が完了できるようになります。但し、移行までにファイル数や容量によって時間が掛かる場合があるようです。詳しくは、下記リンクよりご確認ください。
heteml コントロールパネル | サーバー移設
自動データ転送にかかる時間はどれくらいですか? | よくある質問
heteml(へテムル)の新サーバーとは?
2017年10月より無料の独自SSLサービスが開始されたことに伴い、2016年10月31日以前に作成されたアカウントでも独自SSL機能を利用できるよう、「新サーバー環境への移設機能」が利用できるようになりました。
※2016年11月以降に作成されたアカウントをお持ちの方は、移設せずに無料独自SSL機能が使用できます。
自身が対象か迷った場合は、コントロールパネルの右上のWebサーバー番号が「ftpXXX」の方が移設対象です。「userXXX」の方はすでに新サーバーを利用している為、移行の必要はありません。
新サーバーへの移設によるメリットとは?
新サーバーへ移設することで以下のメリットがあります。
- 料金そのままで、サーバースペックの大幅な改善。
- 無料独自SSLが使用可能になる。
- 自動バックアップ機能が使用可能になる。
料金そのままで、サーバースペックの大幅な改善
新サーバーの料金プランは、ベーシックプランとプラスプランの2種類です。
2016年10月までに作成したアカウントの方は、旧サーバー時の料金で「プラスプラン」を利用できます。
さらに、ディスク容量が300GBに増量され、CPUもスペックアップし、性能が約2倍に改善されたそうです。
料金プランリニューアルおよび新機能を追加しました(2017/10/24 09:00) – レンタルサーバー「heteml(ヘテムル)」
無料独自SSLが使用可能になる
新サーバーでは、無料で独自SSL証明書「Let’s Encrypt」が利用可能になります。
Googleがプライバシー保護の観点から、2018年7月よりSSL化されていないページに警告を表示するなど、セキュリティーとSEO対策の両面から「常時SSL化」が必須となったことで、無料で独自SSLが利用できるというのは大きなメリットです。
独自SSL – レンタルサーバー「heteml(ヘテムル)」
自動バックアップ機能が使用可能になる
旧サーバーでは、月額700円(税別)でバックアップを保存してくれていました。
新サーバーでは、無償でバックアップを保存してくれるそうです。(但し、バックアップを取得する際に1データあたり5,500円(税込)が必要です。また、1日1回のバックアップで、保存期間は最大14日分です。)
バックアップ – レンタルサーバー「heteml(ヘテムル)」
新サーバーへ移設作業の流れ
さて、ここからは実際に移転作業を説明していきます。
まずは、コントローパネルのトップページから「新サーバー移設」をクリックします。
作業の流れは以下の様になります。
- 事前に必要な準備を行う
- 「移設を開始する」ボタンを押す
- フォルダとファイルを移設先のサーバーへアップロードし各種調整を行う
- 30日以内に「移設を完了する」ボタンを押して移設先のサーバーへ切り替えを行う
- cronなど移設完了後に可能な設定を行う
※mysql4 以外のDBやメールサーバーは、そのまま引き継がれますのでデータ移行は不要です。
移設作業を行う場合は、必ず上記の流れで作業を行ってください。特に、「1.事前に必要な準備を行う」のバックアップは必ず取る様にしましょう。
事前に必要な準備を行う
まず、移設を開始する前の準備を行いましょう。
サーバーのファイルのバックアップを取る
移設前のサーバーの中身をローカル(自分のPC等)にバックアップしましょう。
移設作業では、旧サーバーのファイルを新サーバへアップロードしなければなりません。必要なファイルを全て保存しておきましょう。
ちなみに、データベースに関しては、MySQL4は新環境では使用できません。
その際は、現在のデータベースをエクスポートしてください。
MySQL5を使用中で、コントロールパネル【データベース】にてパスワード再設定の項目が「要設定」とリンクが表示されている場合は対応が必要です。それぞれの対応方法は下記の通りです。
MySQL4の場合:MySQLデータのエクスポートとインポート
MySQL5の場合:MySQLへの接続の際の注意点
移設中は行えない作業
下記の作業・設定は移設中は行えませんので注意しましょう。
- ドメインの設定およびサブドメインの作成
- メールアドレスが一つも作成されていないドメインでのメール機能利用開始
- バックアップオプションのお申込み
- 独自SSLの新規更新お申込みや証明書のインストール
- SSHアカウントやサブFTPアカウントの作成や削除
- FTPアカウントのパスワード変更
- hetemlFTPでの移設先へサーバーへのアクセス
- アクセス制限(ベーシック認証)
- 新規DBの作成
- 簡単インストール機能の利用
- webdavの有効無効
- cronの設定
「移設を開始する」ボタンを押す
ファイルやデータベースのバックアップ、各種設定が完了しましたら、コントロールパネルの「サーバー移設」をクリックして、サーバー移設ページの下部の「移設を開始する」ボタンをクリックすると、移設先のFTPとコントロールパネルにアクセスが可能になりますので30日以内に、移設を完了する必要があります。(※旧サーバーにもアクセス可能です。)
フォルダとファイルを移設先のサーバーへアップロードし各種調整を行う
新サーバーにアクセス可能となったので、旧サーバーのフォルダとファイルを移設先サーバーへアップロードをしましょう。
新サーバーのコントロールパネルへは、画面右上に「サーバー操作切替」ボタンが表示されているかと思います。
このボタンをクリックすることで期間内であればいつでも旧サーバーと新サーバーのコントロールパネルを行き来できます。
新サーバーのFTPアカウントは新サーバーのコントロールパネルの「FTP情報」を確認してください。
アップロードする際の注意点
- アップロードするフォルダとファイルは公開フォルダ(web)に、旧サーバーの階層そのままアップロードしてください。
- 使用していないテーマフォルダはできるだけ削除しましょう。(改ざん防止やサーバーへの負荷軽減の為)
- .htaccessファイルに記述している内容が移設先サーバー環境に対応しているか確認をする。
※「SiteGuard WP Plugin」というプラグインを使用している方
セキュリティ対応プラグインである「SiteGuard WP Plugin」を使用している場合、エラーが出てしまうことが多いようです。エラーが出てしまう場合は、一度アップロード後にプラグインを無効にすることをお勧めします。(※かなりハマりました。)
その際、ログインURL変更機能を使用している場合は「.htaccess」ファイルも変更しなければなりませんので注意しましょう。
公開前に移設先サーバーの表示を確認するには?
アップロードが完了したとしても、そのまま公開するとエラーが出てしまうかもしれません。公開前に移設先サイトの表示を確認しておきたい場合もあると思います。(※することをオススメします。)
その場合の手順は以下のリンクに設定方法が記載されています。
ネームサーバー変更前のデータチェック方法(Mac) | ヘテムルブログ
ネームサーバー変更前のデータチェック方法(Windows) | ヘテムルブログ
※「hostsファイルが上書きできない」場合
Windowsで上記の方法を行った際に、上記の画像の様に「hostsファイルが上書きできない」場合は、下記の方法を試してみてください。(※念の為、hostsファイルをバックアップしておきましょう。)
1.hostsファイル上で右クリックをして、プロパティを開く。
2.セキュリティタブを開き「Users」を選択して「編集」をクリックする。
3.Usersのアクセス許可欄の「フルコントロール」にチェックを入れ、「OK」をクリック。
これで保存ができるようになるかと思います。
新サイトの確認が終了したら元の設定に戻すのを忘れないようにしましょう。
※エラーが発生した時は…
サイト確認の際、WordPressをインストールしている場合、エラーが出てしまうこともあるかと思います。その場合は、落ち着いてエラーの内容を確認しましょう。下記によくあるエラー内容と対策を記載しておきます。
・500エラー
こちらは、サーバー内部のエラーの際に出るエラーです。.htaccess やプラグインに問題がある場合に発生することが多いエラーです。
「新サーバー環境で提供されていないphpのバージョン指定がある。」、「プラグインの記述に原因がある」などが考えられます。
.htaccessファイルの内容やプラグインを無効にすると解決することが多いです。
・403エラー
こちらは、WAF(Web Application Firewall)の設定によってよく出るエラーです。不正アクセス対策であるWAFによってアクセスできない場合があります。
また、.htaccessファイルの内容によってもアクセスできない場合もあります。特にIPアドレスの記述がある場合には要注意です。
・404エラー
トップページ以外が404エラーとなる場合があるようです。
管理画面にログインできる場合は、「設定」の「パーマリンク設定」をクリックして、そのまま「変更を保存」を押してみてください。これで改善される場合があります。
・画面が真っ白になった場合
WordPressでは定番エラーの「画面が真っ白」になるエラーです。
その際は、まずは「wp-config.php」ファイルの「define(‘WP_DEBUG’, false);」のfalseをtrueに書き換えてデバッグモードで該当ページを開きましょう。エラー内容が表示されますので確認してください。
※WordPressにおけるエラーの多くは、「.htacess」、「プラグイン」、「記述ミス」、「キャッシュ」が原因である場合がかなり多いです。エラーが出ても一つ一つ確かめながら焦らず諦めずに対処していきましょう。
30日以内に「移設を完了する」ボタンを押して移設先のサーバーへ切り替えを行う
移設を開始してから「30日以内」に「移設を完了する」必要があります。
移設先のサイトの表示を確認して問題なければ「移設を完了する」ボタンをクリックしましょう。これ以降、「旧サーバー」のファイルやコントロールパネルにはアクセスできなくなりますのでご注意ください。
他社ネームサーバーやムームーDNSをカスタム設定で利用している場合
ヘテムルのネームサーバーやムームーDNS(カスタム以外)を利用している場合は、ネームサーバーが自動的に切り替わるので設定は必要ありませんが、それ以外のネームサーバーを利用している場合は、コントロールパネルのトップページから「アカウント情報」の「ロードバランサーIPアドレス」を確認し、ドメイン管理サイトで変更してください。
完了ボタンを押したにも関わらず移設されない場合
移設先サーバーへの切り替えには多少時間が掛かるようです。完了ボタンを押したにも関わらず移設されないという方は、少し時間を空けてから確認してみてください。
WordPressサイトをhetemlで無料独自SSL化する方法
新サーバーへの移設に伴い、無料で独自SSLが設定できるようになりましたので、設定方法を見ていきましょう。(※移設が完全に反映されてから行う様にしましょう。)
SSL化したいドメインを選択する
まずは、コントロールパネルの「ドメイン・メール設定画面へ」をクリックします。
そして、ドメイン一覧からSSL化したいドメインの「詳細を見る」→「設定変更」と進みます。
そして、「無料独自SSLを設定する」という項目にチェックを入れ、「保存」を押します。
以上で設定は完了です。ドメイン一覧に無料SSLというアイコンが追加されれば独自SSLが使用可能となります。
バックアップ
SSL化する前にファイルやデータベースのバックアップをしましょう。
WordPressサイトをSSL化する
サーバー側で設定が完了しましたら、続いてWordPress側の設定をしていきましょう。
管理画面の「設定」の「一般」から設定
プラグインを使用した方法もありますが、今回はプラグインなしで設定していきましょう。
まず、WordPressの管理画面から「設定」→「一般」の「WordPressアドレス(URL)」と「サイトアドレス(URL)」のURLをそれぞれ「http://〜」を「https://〜」に変更します。
「変更を保存」してブラウザから実際に「https://」と入力してサイトを確認して見てください。表示されれば正しく設定されています。
※もし入力ミスをして管理画面にアクセスできなくなってしまったら
もし管理画面にアクセスできなくなった場合は、hetemlのコントロールパネルの「データベース」から直接URLを編集してください。
内部リンクを「https://」に書き換える
SSL化するとURLが全て変更されます。WordPressのエディタ上で内部リンクを設定している場合、「http://」のままになってしまいますので便利なプラグインを使用して一括で変更しましょう。
使用するのは「Search Regex」というプラグインです。このプラグインを使用して、「http://ドメイン名」を「https://ドメイン名」に変更しましょう。プラグインの使用方法についてはこちらの記事をご覧ください。
Search Regexプラグインで一括置換・削除する【使い方】
URLを正規化する(リダイレクト)
さて、ここまでで正常に表示がされているかと思います。しかし、一つ問題があります。実はGoogleなどのサーチエンジンでは「http://」と「https://」では異なったドメインと判断してしまいます。
つまり、見た目が同じサイトが2つ存在しているということになります。これでは、Googleからの評価を落としたり、リンク切れなどでユーザーの離脱の原因となってしまいます。
そこで、「URLを正規化」することで対処します。
URLの正規化とは、簡単に言えば、「正しいURLはこっちですよGoogleさん!」と教えてあげることです。
今回もプラグインを使用せず、.htaccessファイルに記述していきます。
.htaccess
RewriteEngine on
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]
「example.com」の部分を自分のドメイン名に変更してください。
これで、「http://〜」にアクセスしても301リダイレクトにより「https://〜」にリダイレクトされます。ちなみに、サブディレクトリ(例:https://exmaple.com/2/)を一つ一つ記述する必要はありません。
これで、WordPressのSSL化は完了です。
まとめ
今回は、レンタルサーバーの「heteml(へテムル)」の新サーバーへの移行方法と、無料SSLの設定方法をご紹介しました。
もし、旧サーバーを使用中の場合の方は、サイトの高速化やセキュリティ面の向上といったメリットがありますので、ぜひ移行することをお勧めします。但し、移行の際はバックアップを必ず取っておくことを忘れないようにしましょう。